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「ChatGPT」など最新技術を積極導入。オンラインショッピング環境向上に投資し続ける「Zalando」【EU最新小売トレンドレポート】
より快適なオンラインショッピング環境の提供は、EC運営企業にとって世界共通の重要課題です。ECはいつでもどこでも買い物ができる便利な購入先ではあるものの、商品探しや提案・アドバイスのサービスに欠け、サイズに関しては商品写真やサイズ表をもとに確認する必要があります。
これらのデメリットを取り除きオンラインショッピングを快適にするために、ドイツ発の大手ファッション ECの「Zalando(ザランド)」は継続的に投資を行っています。特にAIを活用した 「ChatGPT(チャットジーピーティー)」の機能向上に伴って、日本はもちろん英国やヨーロッパでもAIへの関心は高まっています。
今回は同社が試験的に導入を開始しているAIサービスや最新技術をベースにした事例を解説。また、高インフレ率・光熱費高騰で厳しい経済環境にありながらも売上を増加させている工夫についてもご紹介していきます。
- ☑ 「Chat GPT」を導入した「ファッションアシスタントサービス」
- ☑ 自身のアバターを生成して利用できる「バーチャルフィッティングルーム」
- ☑ 自社のオフプライスチャネル「Lounge by Zalando」
- ☑ ユーザーの2枚の撮影画像を元にした「サイズアドバイス」
「Zalando」のファッションアシスタントサービスのイメージ画面(公式プレスリリースより)。
チャット形式での質問に対して、商品とともに提案理由も提示。対話形式で利用することができる
ファッションアシスタントサービスに 「ChatGPT」を導入
2023年4月中旬、「Zalando」は OpenAI(オープンエーアイ)社のAI 技術である「ChatGPT」をカスタマーサービスとして試験的に導入することを発表しています。「ファッションアシ スタントサービス」と呼ばれる顧客サポートサービスにてまずはベータ版として提供される予定で、今春までに限られた顧客のみ利用が可能となる予定です。
言語は英語とドイツ語で、ウェブブラウザとアプリに対応し、ドイツ、アイルランド、英国、オーストリアで先行導入されます。主な利用方法として期待されているサービスが、多数の商品を取り扱う「Zalando」の商品から、AIにより顧客が望む商品を提案することです。
実店舗であれば 店舗スタッフが顧客の好みや着用用途をヒアリングし、オススメの商品を提案しますが、「Zalando」では「ChatGPT」による提案を受けることが可能になります。プレスリリースで紹介されている具体例は次の通り。たとえば「7月にサントリーニ島で結婚式を挙げるのですが、何を着ていけばいいでしょうか?」という顧客からの質問に対してファッションアシスタントサービスは、「フォーマルなイベントであること」に加えて「7月のサントリーニ島の天気データ」を考慮に入れ、「Zalando」の取り扱い商品からオススメ商品を説明とともに提示してくれます。
執筆者
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高嶋 一行|KAZUYUKI TAKASHIMA
Showcase Tokyo 代表・在英ライター|AILメディアパートナー
ファッション専門学校卒業後、渡英。「ELEY KISHIMOTO(イーリー キシモト)」にてデザインアシストを経験。現在は英国を拠点に日本ブランドの海外セールスを行うエージェント「ShowcaseTokyo」を運営(https://www.showcasetokyo.co.uk)。 東京ファッションウィーク参加ブランドなど、日本のデザイナーズブランドの海外進出や新規取引先開拓の支援を行っている。 パリファッションウィーク期間では年4回それぞれのシーズンに営業担当する日本ブランドと共に参加。バイヤー向けの展示会を開き、ヨーロッパを中心に海外のお店やバイヤーとの取引を進める。