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洗浄力、成分、香りのすべてにこだわり自社開発 99%植物由来で人・環境・洋服に優しいファッションケア洗剤ブランド「Biolaundress」【AILイノベーションノートVOL.8】
会員企業様のイノベーティブな取り組みを紹介する「AILイノベーションノート」。取り組みから見えてくるヒントをAILコミュニティで共有し、会員の皆様と一緒に次のビジネスチャンスを探っていきます。
第8回でご紹介するのは、「Vitamix(バイタミックス)」「NICI (ニキ)」など生活を豊かに彩るインテリアや生活雑貨を展開するネパワークス(アントレックス・グループ)が今年自社開発したファッションケア洗剤ブランドの「Biolaundress(ビオランドレス)」。99%植物由来で肌にも衣服にも優しい成分のみを贅沢に使用しながらも、高度な洗浄力を保ち、さらに香水をイメージしたオリジナルの香りにこだわった、これまでにありそうでない洗濯洗剤・柔軟剤ブランドです。
「ファッション好きの人に使ってほしい」との想いで自社での企画開発に至った背景と、今後のブランドビジネスについてビオランドレス&ホーム事業部 事業部長の成島 勇市氏(以下、成島氏)とインポート担当の石倉 のどか氏(以下、石倉氏)にお聞きしました。
(写真左)成島 勇市氏
NEPA Works
Biolaundress & Home 事業部 事業部長
なるしまゆういち● 1970年、東京都出身。埼玉県立八潮南高等学校卒業。1991年9月レッドワークス(現アントレックス)入社、2014年3月にアントレックスEC 事業部を立ち上げ、事業部長に就任。2022年12月に「Biolaundress」開発をスタート。2023年3月にNEPA Works(アントレックスより分社化)のBiolaundress & Home 事業部長に就任。
(写真右)石倉 のどか氏
Biolaundress & Home 事業部 インポート兼企画営業
いしくらのどか● 1999 年、富山県出身。2022年3月昭和女子大学国際学部国際学科卒業。在学中はスペインに留学。2022年4月アントレックス入社、インポート担当として輸入・仕入れ、海外メーカーとのコミュニケーションを担う。2022年12月に「Biolaundress」開発をスタート。2023年3月にNEPAWorks にてBiolaundress & Home 事業部のインポート兼企画営業を担う。
「Biolaundress」公式ウェブサイト https://biolaundress.jp/
「Biolaundress」公式Instagram @biolaundress_official https://www.instagram.com/biolaundress_official/
>>>その他のイノベーションノートトピックはこちら #AIL編集部独自取材
「Biolaundress」ブランドイメージ動画(「Biolaundress」公式オンラインストアより)
はじめに、成島さんと石倉さんの担当事業についてお聞かせください。
成島氏:
新規ブランドとしては「Biolaundress」がメインですが、既存ブランドとしては他にボディケアブランドの「J.R.WATKINS(ジェイ・アール・ワトキンス)」、ドッグヘアケアブランドの「PRIDE+GROOM(プライド グルーム)」、メンズコスメブランドの「BYRD(バード)」など、輸入のボディケア関連商品を中心に国内のマーケティングとブランディング全般を手掛けています。
石倉氏:
弊社で販売代行をしているブランド全般の仕入れを担当しています。輸入手続きや、海外ブランドとのコミュニケーションを行っています。
“無いなら自社で作る” ファッションケアの習慣のための新ブランド
「Biolaundress」(画像はすべてネパワークス提供)
これまで、誰もが一度は目にしたことがあるような数多くの海外生活雑貨の国内向けマーケティングやブランディングを展開されてきた中で、今回なぜ自社で新ブランドを企画開発するに至ったのでしょうか? 経緯をお聞かせください。
成島氏:
弊社では70以上のブランド、SKUでは約15,000の幅広いジャンルの商品を取り扱い、国内に向けたマーケティングやブランディングをしてきました。弊社が取り扱う商品ジャンルは、キッチングッズや日用品など日常生活の中で頻繁に使うものではありますが、億劫に感じている家事が少しでも楽しくなったり、お洒落なデザインで使うたびに高揚感を感じてもらえたりというように「生活の豊かさに紐づいていくような、優越感」を提案する商品であることを大切にしています。
そういった商品を通じて国内の取引先やエンドユーザーとお付き合いをしていく中で、昨年特にファッションケアにこだわる人に向けたアイテムの話があがったことが、自社開発に至ったきっかけです。
大切な衣服を自宅でケアし、永く大切にする習慣が浸透しつつある機運を感じる中で、それに見合うケアアイテムの取り扱いを検討したところ、なかなか納得のもてる商品が市場には見当たりませんでした。例えば、ナチュラルな洗剤と一言で言っても、成分が環境や人に優しい分、汚れが落ちにくいという課題点もありました。そこで、自社化粧品工場などの社内リソースをフルに活用し、情報収集し、市場にないのであれば、自分たちで企画開発してみようと踏み切りました。
「Biolaundress」のコンセプトや、他とは異なる特にこだわった部分は何でしょうか?
成島氏:
洋服やファッションが好きで、ご自身で大切にケアをしながら永く愛用したいという人に向けて作りました。カシミアやシルクなどのデリケートな素材の手洗いにも使用でき、しっかり汚れを落とせて、かつ着用時に肌に触れても安心な成分のみで構成しています。
衣類洗剤に使われる界面活性剤は肌荒れの原因となってしまう刺激性のあるものが一般的ですが、「Biolaundress」は自社のISO取得(注1)の化粧品工場で生産しており、高級シャンプーや洗顔料に使用される成分と同じ植物由来の、肌に優しい成分だけを贅沢に使用しています。肌や衣服にとって低負担なのはもちろん、成分はすべて使用後に自然に還る生分解性の高い素材を使用し、地球環境にも配慮をしました。
「CLASSY SAVON」の香り
石倉氏:
実は、1番こだわったところが「香り」です。従来の衣類洗剤や柔軟剤の香りは、お花やせっけんなど割とわかりやすくシンプルなものが一般的ですが、「Biolaundress」では独特な香りを目指そうと、百貨店の香水売り場に何度も足を運び、香りをリサーチしました。特にファッション好きの方に使用してもらうイメージでしたので、ファッションの一部として、自分好みの香水と一緒に使用しても違和感なく、より香りを引き立てられるような商品にしたいと考えたからです。
そのため、洗剤と柔軟剤を同じ香りで開発し、より深く衣類に香り付けさせることで、着用時はさりげなく香水をまとっているような感覚でより香りを楽しんでいただけます。香水に抵抗のあるような方にも、男女問わずジェンダーレスに使ってもらいたいと考えています。
また、特に女性は下着などを手洗いする方も増えていると思いますので、手荒れなどを気にせず、こだわりの下着などにも使用していただけたらと思います。
注1:ISO22716取得。化粧品の製造に関する品質・安全性に関する国際規格。
「WOODY BOUQUET」の香り
こだわりの2種の香りは、同社の社内や香り専門部署と何度も検討を重ねて実現した
「Biolaundress」オリジナル
成分、洗浄力、そして香りと、いずれのポイントも妥協することなくバランスの良い商品をゼロから作ることはかなり大変
だったのではないでしょうか?
成島氏:
そうですね、昨年末から企画を始め、商品化まで約1年を費やしました。まずはさまざまな汚れを布に付けて洗浄力を試すところから始まり、香りは最後の1か月までこだわり最終調整をしました。肌に優しい成分であっても、香りが打ち消されてしまう場合もあり、何度も成分の組み合わせを試行錯誤するなど、すべての工程でこだわりました。商品の値は多少張ってしまいましたが(笑)、どこにもない自信作です。
石倉氏:
生産拠点が自社の化粧品工場でしたので、時には難しい要望を伝えたこともありましたが、何とか完成に向けて協力してもらいました。発売時期も迫り、なかなか納得のいく香りにならなかったときは焦りもありましたが、実は社内に「香り」専門の事業部があり、香料企業を紹介してもらうなど相談にも乗ってもらいました。最終的に香りを2種に絞り決定する際には、男女問わず幅広い年齢層に受け容れてもらえるよう、社内で意見交換や投票を行った上で採用しています。
ボトルはキャップタイプと、プッシュ回数で洗剤量を調整できるスプレイヤータイプの2 種類を用意。
液だれなど計量の際のストレスを軽減し
インテリアに馴染むようなデザインにもこだわっている
日本発の“ファッションケアブランド”として、ブランド拡充を目指す
なるほど、企画実現に向け社内の各部署を横断しながら完成したブランドなのですね。「Biolaundress」の訴求方法について、特にオンラインでは香りを伝えることは難しいと思いますが、今後どのように展開していくのでしょうか?
成島氏:
オンライン・店舗ともに、まずはこれまでのお付き合いの深い取引先へご案内しています。想定しているターゲット層は「ファッションが好き」「自分の洋服を大切にしたい」という人。そのため、店舗では他の洗剤と一緒に陳列するのではなく、洋服と一緒にディスプレイし、お客様に対しては洗い方を含めファッションアイテムの一部として紹介してもらえるようにお願いをしています。取扱店舗を回り、販売員の方には一からブランドコンセプトを説明し、接客に取り入れていただいています。
石倉氏:
オンライン経由でも「香り」のファンになってもらうために、サシェや洗濯1回分のサンプルサイズなど、まずは気軽に商品を試してもらえるような商品ラインアップの展開を考えています。店頭では香りを体験いただけるような仕掛けに注力をして、その後オンライン購入に繋げていきたいです。
最後に、現在「Biolaundress」は洗濯洗剤と柔軟剤をそれぞれ2種の香りで展開されていますが、今後はどのようにブランドを拡充させていくのか、展望をお聞かせください。
成島氏:
商品展開と、香りの展開の二軸で進めていきたいと思っています。
商品展開は、今後は例えば、エアフレッシュナーや、帽子や靴などファッションアイテムごとに合わせた洗剤・柔軟剤などにも挑戦していきたいと考えています。今回、商品開発の段階で社内アンケートをとった際に、意外にも女性に限らず男性も大切な衣類を自宅で特別なケアをしていることが分かりました。男女問わずジェンダーレスで使ってもらえるような、ファッションケアに特化したブランドとしてラインアップを拡充していきたいと思っています。
また、これまで弊社がお付き合いをしてきたアパレルブランドや、卸先のショップやホテルなどとコラボレーションアイテムを企画していくのも面白いと考えています。そして将来的には、日本製であることや他にない成分へのこだわりを軸に、今度は我々がアメリカをはじめとした越境に挑戦したいという展望も、段階的にはまだ先になりますが描いています。冒頭でお伝えした「豊かさに紐づいていくような優越感」を感じて貰える商品軸を大切に、今後もブランド展開をしていきたいと思います。
【編集後記】おわりに
オフィスのエントランスをくぐると、ふわっと全身が良い香りに包まれる空間が広がっていました。今回は、オンラインや雑貨店などで一度は目にしたことのある「NICI」「Vitamix」「J.R. WATKINS(ジェイ・アール・ワトキンス)」など生活を彩る選りすぐりの商品が並ぶ、店舗さながらのショールームで取材させていただきました。取材中も「香り」専門の事業部が手掛けるオフィスフレグランスが香り、五感を刺激してくれる素敵なショールームでした。
お話の中で印象的だったのは、自社企画商品に対する非常に風通しの良い社風で、社内アンケートなど部署間を横断した取り組みにより、ブランドの最終的な方向性が定められていることです。それもそのはず、アントレックスグループには、世界中のさまざまな高品質商品に携わる“プロ”たちが集結しています。まさに、“QOL*高感度集団”! そんなプロ集団の監修のもと、今後も拡充されていく「Biolaundress」のアイテムに期待が高まります。
この編集後記やAILコンテンツをチェックいただいている皆様は、ファッションビジネスに関わり、高感度なアンテナで日々情報収集をされている方も多いと思います。そのような皆様には、今回取材させていただいた「Biolaundress」は是非手に取っていただき、ご自身の特別なお洋服の自宅ケアの選択肢として取り入れていただければと思います。
「Biolaundress」の公式ウェブサイトやInstagramも是非チェックしてみてください。(AIL編集部 小川)
*QOL:Quality of Life(生活の質)ここでは日常生活の意で使用。
取材協力
株式会社 NEPA Works
https://www.entrex.co.jp/divisional/nepaworks/
「Biolaundress」公式ウェブサイト https://biolaundress.jp/
「Biolaundress」公式Instagram https://www.instagram.com/biolaundress_official/
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